さりとて①

こんにちは~~。
連載していくお話第二段です。
中学受験のお話、ずっと書いてみたかったので。
 
中途半端なところで切れてます。
毎回そんな感じです。。
ご了承くださいまし。
 
 
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「さりとて」
 
 
 
 
 
 
ビリリリリリリrrrr!!!
 
合図の鐘がなる。
あまりのけたたましさに毎度耳を塞ぎたくなるが
同時に全員が慣れた手つきで机上の紙を一斉に開く。
 
・・・うん。こんなもんか。
 
昼食後の科目、社会であるため、集中力は勿論朝よりも切れていく。
そんな中で、この程度の問題が出るのは有難いことだった。
 
ま、これは偏差値60越えは確実・・・。
この結果なら第一志望のS女学院も合格圏内に違いない。
 
早めに問題を解き終え、入念に見直しをする。
やはり完璧だ。
自分の解答にすっかり満足した私はゆっくりと目を瞑り、机に突っ伏した。
 
「やめ!!」
60分きっかり経つと、監督の結城先生の怒号とも取れる号令が響く。
 
開始の合図はベルなのに、終了の合図が先生の声なのは一体なぜなんだ・・・。
どうでも良いことを考えながら、ぼーっとした頭を起こし、解答用紙を前の席へ回す。
 
はぁ、今日はもう帰れる。
 
「ねね、社会超むずくなかった?無理なんだけど普通に」
広瀬明日香、広ちゃんが話しかけてくる。
 
「んまぁたしかに、歴史近現代だったしむずかったね」
「なこと言って、絶対まゆちゃん余裕だ~」
 
広ちゃんと教室を出る。
彼女は4年生から塾が一緒で、なんとなく隣に座り、なんとなく話すようになり、なんとなくいつも一緒に帰るようになった。
大して勉強は出来ない。
彼女もまたS女学院を目指すそうだが、一回も模試で偏差値が合格圏内に届いたことはなく、合格は無理じゃないかと私はひそかに踏んでいる。
 
「そんなことよりさ~、見た?!今週のテンタノンのステージ!もうめちゃくちゃヨンドンがかっこよかった~~!」
 
そんな彼女はK-POPに夢中だ。
 
「へ~。いつもかっこいいって言ってるあの人か」
「そそ!まゆちゃんも一回で良いからYouTubeで見てよ~!絶対ハマるから!ね!!」
 
両手を合わせ、お願いのポーズをとる広ちゃん。
いや、拝むことじゃなくないか・・・と思いながらも、興味の湧かない異国アイドルの話題を軽く笑って受け流す。
 
「絶対絶対中学入ったら、あたしヨンドン似の彼氏と付き合うって決めてるんだ~」
「・・・S女学院は女子高だよ広ちゃん」
「あ!たしかに~。まぁでも女子高の方が他校の男子からモテるかもだし!それに、第二志望の稲葉中学に受かれば共学だから問題なし!」
 
少し心がもやつくようなことを言われても、とりあえず笑っとく。
これが、小学生の私がこの塾で学んだ処世術、だ。
 
「あ、唯じゃ~ん」
広ちゃんが大きく手を振った先には、これまた同じ塾の唯ちゃんがいた。
唯ちゃんは広ちゃんと同じ小学校に通っている。
私と唯ちゃんも、またなんとなく仲良くしている。
 
「おつかれ~まゆちゃんと広」
「おつかれ唯ちゃん、どうだった試験?」
 
私の顔はきっと、少し今真剣になっているのだろう。
 
「まぁ、大丈夫じゃない?割と楽勝なほう~~」
「まーた全国一位とっちゃう系?は~~まじで天才じゃん!」
 
あっけらかんと話す二人の横で、私はまたほほ笑むしか出来ない。
唯ちゃんは広ちゃんと同じような性格の子だが、ただ頭はかなり良い。
第一志望は京葉大学付属中学で、中学受験をする者誰もが知る、全国で一番偏差値の高い中学だ。
彼女は毎回全国で5番以内の成績を取る。
しかし、それを自慢するわけでもなく、いつも普通にしていて、どこから見てもただの小学生だ。
 
彼女のことを考えると少しイライラしてしまう。
なぜなのかはわからないが、正直あまり好きではない。
まぁ、普段一緒に行動はするのだが。
 
「かーえろっ」
三人で駅へと歩き出す。