2020-04-25 柏の花 遠くで揺れる夕陽の中 一筋の影が伸びていく この身を焼かれても良いから その細い肩に触れたいのに 寒さに震えるはずの素肌は 氷のように僕を拒む 見せかけの関係のまま 蕾はここまで膨らんでしまった 美しい夜を待ちわびて 君はこんな黄昏を知らんぷりして 景色に溶けていこうとする せめてこっちを見て その虚げな瞳で僕を捕らえて 真っ白な花を一輪差し出して 自由を語りかけても 君の香りだけが僕を締め付ける 凍てついた春を溶かせるのは あの人だけなのか 儚い季節の風が吹く時間 見果てぬ夢に追いすがって