柏の花

 

遠くで揺れる夕陽の中

一筋の影が伸びていく

この身を焼かれても良いから

その細い肩に触れたいのに

寒さに震えるはずの素肌は

氷のように僕を拒む

 

見せかけの関係のまま

蕾はここまで膨らんでしまった

美しい夜を待ちわびて

君はこんな黄昏を知らんぷりして

景色に溶けていこうとする

 

せめてこっちを見て

その虚げな瞳で僕を捕らえて

真っ白な花を一輪差し出して

自由を語りかけても

君の香りだけが僕を締め付ける

凍てついた春を溶かせるのは

あの人だけなのか

儚い季節の風が吹く時間

見果てぬ夢に追いすがって